修士論文要旨

森 洋介

 

(論文題名)

企業による顧客間インタラクションへの積極関与

 

(主査)國領二郎

(副査)青井倫一・嶋口充輝・金子郁容

 

(内容要旨)

当論文はネットワーク上の顧客間インタラクションの活性化を目的とした、企業とそのウェブ担当者がとりうることができるネットワーク・コミュニティ(顧客間インタラクションの発生するコンピュータ・ネットワーク上のプラットフォーム)への積極関与方法について考察、インタラクション活発化のきっかけとなる「企業による情報発信」を取り上げ、仮説を設定、企業による関与の影響と効果的な方法を検証したものである.

先行研究においては、企業の介在や関与は顧客間インタラクションを不活発にするものであり、その役割はネットワーク・コミュニティに対し従属的であるべき、と論じられているものが多い.しかし現在、電子商取引の発達に伴い企業のウェブサイトに付属してマーケティング手段としてユーザ・コミュニティが数多く構築されるようになった背景のもと、当論文は、企業による顧客間インタラクション活性化の可能性を探索するという問題意識から出発している.

研究方法として、まず関連分野において先行研究の文献調査を行い、また、事例研究としてA社のウェブサイトにおけるユーザ・コミュニティ(BBS)のユーザに対するアンケート調査を実施した.そして筆者の問題意識と文献研究、この事例研究をもとに仮説の構築を行った.設定した仮説は、B社が新規事業として現在構築中の家庭向け専用ブラウザでの想定ユーザに対してのアンケート調査を行い、顧客間インタラクションを活性化させる企業による積極関与について、「企業による情報の発信」という観点から検証を行った.

文献研究・事例研究によって、消費者はコミュニティでやりとりされた情報を取り込み、その程度や質は属性によって異なること、また、従来の研究同様、コミュニティに企業担当者が介在することをコミュニティメンバーは求めないが、商品の情報について信頼できる特定の企業担当者から発信してほしいと考えていることが発見された.つまり、情報発信において、担当者人数や発言が増えることで情報発信総数が増える、のではなく、コミュニティメンバーに信頼される少数の企業担当者が、商品の情報を発信することが望ましいのではないか、との示唆を得ることができた.

これら文献研究、事例研究から仮説を設定し、検証を行った.その結果、属性として、探索型情報行動を行なう消費者と、受動型情報行動を行なう消費者が存在することが明らかとなった(下図)

また、探索型情報行動を行なう消費者は受動型情報行動に比べ、ネット・コミュニティで入手した探索型情報を周囲に伝播することが発見された.

以上の検証結果から、企業が顧客間インタラクション活性化を目的としコミュニティに関与する場合は、コミュニティメンバーに信頼されている少数の企業担当者が、探索型情報行動を行なう消費者へ向けて情報発信を行なうことが効果的であることが明らかとされた.