本論文においては、大学審議会が行った「『遠隔授業』の大学設置基準における取扱い等について」の答申を踏まえて、リフレッシュ教育と呼ばれる社会人教育における遠隔授業の活用が、教育の需要側である社会人、供給側である大学の双方にとって有効なものであることを、アンケート、インタビューといった具体的なデータにより明らかにした。
まず、我が国のリフレッシュ教育に対する現状についての調査を行った。さまざまな制度が実施されており、この10年間に社会人学生数が大きく増加するなど、大学への関心が高まってきている。しかし、欧米と比較した場合、我が国における社会人在学生数はそれでも少なく、高等教育機関である大学は社会人の学習機関としての機能がまだ不十分であることがわかった。米国では企業、諸機関で働く人々に対する継続的な職業訓練を大学が提供するなど、大学と企業との結びつきが強いのに対して、我が国の場合は、終身雇用制といった社会制度を背景とした企業内教育と企業外教育との効率的な分離といった現象がボトルネックになっていたり、主婦を中心とした女性に対する教育の機会が充分に保障されてこなかった。
これからの時代環境の変化を考えると、学習ニーズが社会人の間でますます高まるものと考えられる。企業組織に在籍している者にとっては、企業外の教育機関が行う教育の重要性が高まっていくだろう。同様に、主婦のような在宅の女性にとっても、学習を通じて社会とのつながりを持ち続けていきたいと思うだろう。筆者が実施したアンケート調査から、社会人が学習する上でキーとなるものは「即時性」、「双方向性」、「対面性」であり、そこには、情報通信技術の活用による遠隔授業の余地があることがわかった。
最後に、今までのことを踏まえた上での結論として、K大学に対してのビジネスプランの提案を行った。