研究方法


本研究は、いくつかの作業仮説を構築し、それを踏まえてインタビューやアンケート等を実施し、その裏付け確認をとることにより前述の研究目的を明らかにすることとしたい。

作業仮説の種類は、「リフレッシュ教育に対するニーズ」と「システム構築の有効性の評価」という二つの観点から考えることとする。


リフレッシュ教育に対するニーズ


リフレッシュ教育に対するニーズとして、以下のような事項を挙げることとする。


  1. 自分たちの企業の中でしか通用しない人材を企業は輩出しがちである。市場において広く通用するような客観的な能力を示すという観点からも、社会人は企業以外の組織が行う教育を欲している。
  2. コンテンツの質が高度であり、専門的であると思われていることから、社会人は貴重な時間をつかって大学のような影響力のある教育機関から教育を受けたいと考えている。
  3. 質問や意見を自由に行えるために、社会人は対面形式の同時双方向の授業を受講したいと思っている。
  4. 時間的な制約から、社会人は身近な場所で授業を受講したいと思っている。
  5. 大学が持つ学位のブランドゆえに、社会人は学位の取得を目指している。
  6. 企業の側も、社員のキャリア開発支援の推進や客観的な評価基準の構築という観点から、企業以外の組織が行う教育を望んでいる。

システム構築の有効性の評価


社会人が遠隔授業を利用するにあたって、遠隔授業システム構築のために有効であると思われる事項について、以下のような事項を考えることとする。


  1. 参加者は多忙な社会人が予想されるので、必ずしも一定の時間に遠隔授業に参加できるとは限らない。そこで、ビデオなどの教育を補完する教材を提供できる体制を用意することで、欠席することにより起こりがちな学習意欲の減退を防止することができ、学習の継続率を高めることができる。
  2. 遠隔授業のような「隔たり」の教育は、伝統的な教育と比較すると受講生の間で共通するコンテクストが得にくいから、受講生に対して「交わり」の場を提供することが受講生同士の連帯意識を発生させることとなるので教育上効果があると思われる。この場合の「交わり」は、オンラインのミーティング、あるいは、オフラインのミーティングの双方が考えられる。
  3. 遠隔授業を受講するための遠隔授業受講場所として、大別して二つに分けることとする。第一は、企業内教育の一環として、企業の研修所等を利用するというものである。当該企業の社員を対象とする場合と当該企業以外の一般の社会人までを対象とする場合との二つを想定することとする。第二は、広く一般の社会人が利用できるような場所である。そのなかでも、公的施設と営利施設との2種類を想定する。公的施設として、首都圏に施設を有する社団法人や財団法人もしくは商工会議所や公民館等を想定する。営利施設として、仕事を持った社会人が参加するために受講しやすい場所を候補として想定する。特に、都心の駅から近い商業施設、具体的には都心の大型書店などの店舗の一角を考える。書店は社会人が仕事に関連する書物や情報を獲得しようと集まってくる場所でもある。さらに、書店であるからには、受講生は書物をその場で入手することができ、特に、教師の著した関連する書物も容易に入手できる。集客力が上がることで、書店にとっても書物の売上が増えることにつながらないだろうか。結果として、大学側と書店側の双方にとってのメリットとなりうるのではないかと考える。