[NIKKEI NeT ITニュース「ネット時評 Digital Byline 2001年7月25日掲載]

 

構造改革促す情報分野の経済刺激策とは

 情報の分野において短期的な経済刺激に貢献する方策を検討するタイミングにあるように思う。これをいま書くのが政治的に何を意味しているのか分からないが、世界経済が減速する中で、失速をさけながら改革を遂行するためには景気をさらに悪化させないようにする方策が必須だ。しかし、安易な景気対策こそがこれまでの構造硬直化の原因になってきたことも確かで、従来型のバラマキは避けたいところである。構造改革を推進する短期的景気刺激策などという難しい話に、後から急にすぐアイディアを出せと言われても間に合わないので、今のうちに有志で議論をしておきたい。

■ネット情報公開で官から民へ

 構造改革を推進する方策というのは、具体的には景気対策を打つことで競争が活性化する方策ということになろう。通信業界で言えば加入者系の配管などに多くの通信会社が競争的にファイバを敷設できるようにすることなどが考えられるだろう。ボトルネックを取り除いてブロードバンドが競争的に提供されるようになれば、通信・建設業界だけでなく周辺の機器業界、コンテンツ業界などにも派生的に需要が発生する。集合住宅など懸案となっている部分について配管に助成を出した上で、使用権を競争入札で通信事業者に渡すなどを考えてもいいのではないだろうか。昨今のADSLの需要の盛りあがりを見ても消費者がブロードバンドに強い関心をいだいていることは確実で、競争と需要が相互に刺激して拡大するようにしたい。

 短期的な経済対策を考える場合、実行可能性も考えなくてはならない。予算措置ができたとしても、既に不足している熟練した技能者が多く必要な対策では難しい。比較的に熟練度の低い労働者でも対応可能な作業で達成可能で、かつあわよくばそれを通じて情報リテラシーがより多くの国民に広がるようなことをしたい。

 この分野ではいろいろ考えられるが、政府の文書をネット上に載せて公開する作業を人海戦術的に進めるということも考えられるだろう。情報公開にはこの国を官主導から民主導に変えるという構造改革の意義もある。

■官民の知恵発揮できる長期対策を

 願わくば資産を次代に残すような方策にもしたい。2、3年助成をつけることで立ち上がる産業があると思われる。我田引水で恐縮だが、筆者が取り組んでいる遠隔システムによる社会人教育なども、補助金といわず、規制緩和をしていただいた上で少々出資をしていただければ2、3年のうちに立派に自身でファイナンスしながら、これまでになく効率的で有効な教育を行う仕組みとして立ち上げが可能だ。

 こんなことを書いても今後の景気や政治の情勢でまったく無駄になることもありうるのだが、今年度中に何かの緊急対策が必要とされる可能性は高いと見るべきだろう。近年年中行事となっている補正予算によるプロジェクトがいささか募集されてきたゆえに、限定的な成果しかあげられず、いささかもったいないと思っているのは私だけではないだろう。短期の景気対策といえども長期的な意味のあることをしたい。いざと言うときに官民の知恵を発揮できるように今のうちに仕込みをすることを提案したい。