総務省総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課御中

 

Lモード提供計画に対する意見

 

國領二郎(大学教員)

 

 標記につきご意見を申し上げます。 

 

1.            主要論点は以下です。

 

(1)  高齢者の多くに見られる情報弱者を含む、より広い層に、使いやすく低価格のインターネットサービスを提供し、日本の情報化を一刻も早く進展させるという観点から、Lモードサービスに対して遅滞なく認可を行うべきです。

(2)  上記目的を満たしつつ通信業界における競争条件の整備に努める必要があります。今回の認可は導入が検討されている非対称規制のあり方に影響を与えます。その考え方は以下の通りであるべきで、Lモード認可にあたっても配慮すべきです。

    競争政策の基本はラストワンマイルにまで全面的に競争を導入することであることを確認すべきです。

    非対称規制を行うのはNTTの市内有線アクセス回線(essential facility)の独占状況が解消するまでの措置であり、その導入はNTT法廃止とNTT完全民営化を行うのが前提条件であることを確認すべきです。

    電気通信政策としての規制の対象はessential facilityへの接続条件に限定するべきです。現在業界の枠組みとして存在する、県内・県外などの地理的条件による垣根を設けるような形はインターネットの現実を無視しており、早期に廃すべきです。

 

2.考え方は以下です。

 

現在ネットワーク利用率を高めることが日本経済を活性化するために焦眉の急となっています。ネットワークには利用者が増えるほど価値が高まるネットワークの外部性があり、現在のような普及率ではITによって経済を浮揚させることは望めません。一人でも多くの方にネットワークを使っていただくようにするためには、高齢者などを含めた情報リテラシーが低い方でも抵抗感なく容易に使えるネットワークツールとサービスを提供することが有効です。また、月額5000円でも負担が過大となる家計の苦しい層でも利用できるネットワークサービスを提供したいところです。今回認可申請が出ているLモードサービスはそのようなニーズに応えうるもので、日本の未来のためにも是非早期にサービスを開始していただきたいものです。

認可を与える場合に配慮しなければいけないのが、競争政策との整合性であることは衆目の一致するところだと思います。今回、検討すべきは(1)このサービスが他の事業者もNTTと同じ条件で提供可能であるか、と(2)このサービスがNTT再編時に設けたNTT東西の県間通信規制に抵触しないか、という二点かと存じます。うち(1)については、技術的にどこの通信事業者でも提供しうるサービスであり、問題はないかと存じます。恐らく問題となるのは(2)だと思います。Lモードを認可すると地域会社であるNTT東西が実質的に県間にまたがる通信のサービスを認めることになるとして、問題視するご意見があると理解しております。

県内・県外という整理が施行したばかりのNTT再編の大前提であることは承知し、監督官庁としてはそれに従わなければいけないことは理解しております。しかしながら、県内・県外という枠組みは大昔の電話時代に「県内は競争できずに競争できるのは県間通信だけ」という技術的状況のもとに作られたもので、現在では市内のアクセス回線を除けば、全面的な競争が可能となっています。また、インターネットについては技術的に県内・県外などの区域分けが最早意味がなく、それに従って認可を行っている現状は、新サービス提供を遅延させたり、既存サービスでも県をまたがって利用することをできなくしています。業界の都合を押し付けるもので、ユーザとしては全く許容しがたいものです。技術環境の変化を一刻も早く、事業者規制の枠組みに反映させるべきです。

通信業界における競争政策の目標は、アクセス回線も含めて全面的な競争を導入することであって、県内・県外などといったところに垣根を設けることでもなく、相互接続の交渉を続けることでもないことを明確に確認すべきです。ここで全面的な競争状態とは、「日本の任意の二点を結ぶときに常にNTTの施設を完全にバイパスできる状態」と定義したいと思います。

相互接続問題などはどこかでNTTの設備を使わないと通信が完結しないから起こるわけで、その状態が残っている間はいくらNTTに非対称規制をしても効果が薄いことはこれまでの通信業界の歴史を見てもはっきりしていると思います。どこかでNTTの設備に頼るサービスにしてもでは結局NTTの提供するサービスメニューに縛られざるをえません。経過措置的に非対称規制でNTT東西に対して公平な接続に対する圧力はかけ続けるのは許容範囲内の必要悪だと考えますが、その手段が原因となって垣根が固定化されるようでしたら本末転倒です。最終的な目的は全面的なバイパス、それも複数事業者による実現を目指すべきです。鉄道、電力、上下水道、ガス、河川、道路など活用できる伝送経路を全て動員してNTT完全バイパスを実現すべきと考えます。その道筋をつけた上でNTT法は廃止し、完全民営化を行う。そのスケジュールこそいま議論すべき点で、県内・県外の正しい垣根のあり方を考えるのは時間の無駄だと思います。

結論として、電気通信審議会の裁量で判断できる範囲内で、県内・県間の規制は限定的に適用することが相当であると考えます。本認可申請については、県間通信部分については東西NTT以外の回線を使用するなど、NTT再編への配慮もなされており、競争他社によるサービスも十分に可能なサービスメニューとなっていますので、それ以上の規制は不要であると考えます。

 

 以上です。読んでいただき、ありがとうございました。

                          國領二郎

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