THE THEORY OF THE GROWTH OF THE FIRM
by Edith T. Penrose
with a new Introduction by Martin Slater
Newyork,John Wiley 1959
会社成長の理論(第二版)
E.T.ペンローズ著
末松 玄六訳/ダイヤモンド社(1980年)
- 本書の主張のまとめ
- 会社の成長をとらえるためには、主としてその外部的条件に注目をしてきたが、本書では主として会社の内部に注目し、成長過程をとらえている。
- 従来の経済学では会社を需要曲線と費用曲線によって定義し、最適価格決定と資源配分の機能の論理で静的にとらえてきたが、本書ではより動的にとらえ、成長しつつある組織体、管理調整が行われ、生産を行い、利潤を追求する組織としてとらえている。
- 従来の会社論においては、産出する単一製品の平均費用曲線の最小点、または規模の非節約が規模の節約に追いつくところをもって、会社の最適規模ととらえていたのに対し、本書では、規模の大小による節約・非節約の考え方を排した。一方で会社の内部に注目し、会社が大規模化するにつれて成長率に変化を起こさせる諸要因として、会社の成長率よりゆるやかな総用役の成長、成長に伴う管理業務の増加、拡張ドル当たりに必要な経営者用役の増大などを導入した。
- 上記・に関してはさらに、従来ひとまとめに会社の規模による節約・非節約としてとらえられてきたものについて、会社の成長という「過程」に伴う節約・非節約と、その結果としての規模という「状態」に伴うそれとを明確に区別し、整理して論じた。
- すなわち、規模の節約を技術上の節約、経営上の節約、操業に関する節約、拡張による節約に分類・整理し、これらと成長の節約とを区別して論じることにより、従来の「大会社ほど効率がよく優位である」という、純粋に会社の規模によって節約を論じる立場を否定した。
- 従来の「専門化した企業は脆弱、多様化した企業は安全」という単純な見方を否定し、会社が多様化する過程を会社内部の理由、競争、需要などさまざまな面から論じた。
- 従来十分に検討されてこなかった会社の吸収・合併という過程について、これを取引としてとらえることにより経済学的に論じた。
- 本書は、従来の経済学において理論的に説明されてきた「会社」に関するさまざまな側
面を、実業界のより現実的な立場から再検討し、会社が成長していく過程に沿った各側
面ごとにとらえ直すことを通じて、新しい説明を試みたものである。
- 従来ひとまとめにして論じられてきた「会社の規模(の大きさ)による利益」という概
念を、会社の規模が成長する「過程」による節約と、規模という「状態」による節約に
区分し詳細に分析したこと、成長する「過程」というダイナミックな捉え方をした点が、
本書のもっともユニークな主張である。
以上
(文責:澁谷覚、1998年10月4日)