Schelling, T. C., "The Mind as a Consuming Organ," Bell, David, Howard Raiffa, and Amos Tversky eds., Decision Making, Cambridge University Press, 1988.



 本論文において著者が提示する主題は、人間には精神(Mind)があり、その精神自体が消費をおこなう器官(Consuming Organ)であるがゆえに、経済理論でいうところの完全な合理人(Maximizer)ではありえないということである。

 精神は、空想し、思い出に耽り、物語に没入し、スポーツ観戦でひいきに肩入れするなど、娯楽や逃避を求めるものである。つまり、精神は客観的にはとても合理性があるとは思えないような消費活動に従事していて、結果として合理的な基準から見ると人間の行動を歪曲させている

 精神は、一方で合理的な思考をおこなうよう期待されながらも、同時に娯楽や逃避を求める器官でもあるので、そのことが人間の思考と行動を一筋縄ではいかないものにしている。

以上
(文責:森田 正隆, 1998/6/15)