Case Study Research  Design and Methods

20031016

佐々木裕一

 

5.                            Analyzing Case Study Evidence

ケースを分析するための一般的な戦略としては、(1)なぜそのケースを取り上げることにしたかを説明する理論的命題に依拠する方法、(2)対抗する説明方法を定義して、その説明方法が有効であるかをテストする方法、(3)そのケースを説明するためのフレームワークを新たに開発する方法とがある。

また分析するための手法としては、(1)パターン・マッチング、(2)説明論理の構築、(3)時間軸による分析、(4)ロジック・モデル、(5)複数ケースの統合がある。

(1)はある特定のパターンがケースに存在しているかを見るもっとも基本的なものである。(2)はパターン・マッチングの発展形で、複数のパターン・マッチングの結果によって論理的な説明を試みるものである。(3)は時間を軸に分析を試みるものであるが、あくまでも分析するために時間を利用するという点が肝要で、ただの年代記になってはいけない。(4)はデータを集める前に、あらかじめ論理的に説明可能なモデルを構築しておいて、それに対する検証を行うというものである。(5)は複数のケースを横断的に分析するというものである。

いずれの戦略や方法を採用するにせよ、留意するべきは以下の点である。(1)すべての証拠について目配りすること、(2)反対の解釈方法を想定・分析すること、(3)そのケースの意味ある側面に注目すること、(4)自分の専門的知識を活かすことである。

 

6.                            Reporting Case Studies

ケーススタディのレポート書式には、(1)そのケースを記述・分析する物語風のシングルケーススタイル、(2)複数のシングルケーススタイルと複数のケースを横断的に分析する章を設けたマルチケーススタイル、(3)物語風のスタイルをとらずに、問いと回答の繰り返しのみで構成していくスタイル、(4)複数のケースを対象としたものだが、いずれの章も単独のケースには割かれず、各章がケースの横断的な分析になっているスタイルとがある。

またレポートの構成としては、(1)順次論点について分析していく最も基本的な順次分析法、(2)複数の理論やモデルについて同じケースを繰り返し記述していく方法(「キューバ危機」方式)、(3)時系列に記述していく方法、(4)章ごとに理論を積み上げていく方法、(5)冒頭にパラドキシカルな回答を示してしまって謎解きをしていく方法、(6)流れを意識せずに各章を独立した形に仕上げる方法がある。各方法にはExplanatory(説明的)、Descriptive(記述的)、Exploratory(探索的)というケーススタディの目的によって向き不向きがある。

レポートを書くのは早いにこしたことはなく、参考文献と方法論とケース対象のデータに関する説明の部分は早くから書き始めることができる。そしてこの部分が適切に書かれていれば、あとは分析に集中できる。

最後に模範的なケースの条件について述べる。(1)ケースは意味のある物でなければならない。(2)ケースは「完全」でなければならない。(3)多面的な解釈を考慮したものでなければならない。(4)十分な証拠を見せなければならない。(5)人を引きつけるものとして書かれないといけない。

 

          論点

          ケースを分析するための一般的な戦略として(1)と(2)は併存するのか?

          一般的戦略と分析手法の関係は?

          @cosmeROM論文(小川論文)は(4)のロジック・モデルと言えるのか?

          Explanatory(説明的)、Descriptive(記述的)、Exploratory(探索的)なケーススタディの目的(p.152)(ケーススタディではない)というものがそもそも何なのかわからなくなってきた。

          みなさんのケースの意味は?→どこかでケースの構想発表会をやらないと。90分じゃ無理?