先端研究K 5/31

吉川弘之、富山哲男、『設計学−ものづくりの理論』、放送大学教材、2000

政策・メディア研究科修士課程1年 80425676 本橋 英聡 hideaki@sfc.keio.ac.jp

 

      要旨

 設計学は、設計を人間に普遍的な創造行為として、設計の対象に依存せずに抽象的且つ一般的な形で知識を体系化して、設計を理解し、その結果設計の効率化、高度な支援システム構築を行うためのものである。

 

 人工物の設計は、要求を実現するための人工物の動作原理、構造や形状・あるいは挙動を設計していく過程であり、概念設計、基本設計、詳細設計という手順を踏んでいく。また、実際に製造するための生産設計がその後に行われる。つまり、設計は、生産者とその人工物の使用者とをつなぐ役割、そして人工物を実際に製造する際に必要な情報を決定する役割を持つものである。

 

 人工物設計の歴史を見れば、設計に対して技術進歩、社会要請やトレンド、失敗の結果などを反映しなければ、それは有効な設計として生き残れないことが明らかである。また、設計にはその人工物のその後のライフサイクルを決定付け、ライフサイクルの各段階において使用される情報を生成する役割がある(その各段階を考慮した設計のことをDesign for Xという)。つまり、設計とは「使用者あるいは市場の要求を満足するために、人工物およびそのライフサイクル全体でのあるべき姿に関わる情報を段階的に詳細化しながら決定することが目的」であると言うこともできる。また、そのプロセスは直列的なものだけでなく、並列的なものでもありえ、コスト削減・スピード短縮・品質向上等の要求からその重要性が増してきている(コンカレント・エンジニアリング)。その場合、設計の重要性はより増す事になる。

 

 設計における情報を表現することがモデルである。モデルとは実態が持つ一部の性質だけを抽象化してそれだけを表現したものである。モデルは図面などとして「設計の作業空間」として利用され、完成されたモデルは情報伝達・コミュニケーションの手段として機能する。

 

設計学が設計をモデル化し理解するための学問であることの意味は、分野を超えて共通に存在する設計過程モデルを構築し、設計がどのように進んでいくのかを理解することである。これは、設計に関わる知識を体系化して整理し、説明を与える以外にも、将来的に設計の効率化、高度化をするために重要なのである。

 

      コメント

 このように抽象的・普遍的なレイヤーから設計を理解しようとすると、コンカレント・エンジニアリングや3次元CADなどが経営・製品開発に与えるインパクトをより理解しやすくなるように感じた。