山倉健嗣「組織間関係 : 企業間ネットワークの変革に向けて」有斐閣 , 1993年
2004.11.29 折田明子
要旨
組織が他組織との関係をいかに作っていくかは、企業の存続・成長にとって重要な課題になっており、企業をとりまく環境も変動している。組織間関係とは、組織と組織の何らかの形のつながりを指し、具体的には組織間の資源・情報の交換、インフォーマルな価値共有があげられる。組織間関係における行動主体については、環境決定論と自由意思論の両方の見方がある。本書では、これまでの組織間関係論の理論的経緯を明らかにした上で、異なるパースペクティブを提示する。
組織間関係のパースペクティブは、社会学者によるもの(1〜4)と経済学者によるもの(5)の5つに分類される。(1)資源依存:組織への依存と支配の拡大という、組織による操作可能性を見る。(2)組織セット:相互作用している一群の組織を対象にするが、システム自体の分析が軽視される。(3)協同戦略:協同・共生・協力によるグループとしての環境との関わり。(4)制度化:組織が制度化された環境に埋め込まれているという前提に立つ。(5)取引コスト:2つ以上の主体間の財の移転により、市場と組織という視点を取る。
組織間の関係が形成される理由や過程については、組織感のパワー(互酬性・パワー・取引コスト・正当性・強制)およびコミュニケーションで説明できる。組織間関係の対境担当者は、内外の接点として代表として交渉を行う。組織間関係の調整は、協働を確保する方向に動く。環境に対して、制御可能な範囲を拡大するために働きかける。具体的には、他組織への依存と自律の維持、他組織へのパワー拡大のバランスを取る。組織間の関係は、こうした相互作用を通じてパターン化し、安定する。パターンには2種類あり、円型(分散型)と星型(集中型)に分かれる。組織間で、意味レベルで共有されている価値や行動様式を、組織間文化と呼ぶ。これは組織間構造を大体したり、補完したりする。
個別組織の能力を超えた社会問題に対し、「組織の組織」(=組織集合自体の組織化)という課題が展開している。分析単位は組織の集合体である。組織間媒介組織は、構成組織との相互連関におかれるため、多面的な緊張にさらされる。これを処理するメカニズムとして、文化的統合・規範的統合・意思伝達的統合・機能的統合の4つが示されている。
時間的経過に伴って起こる組織間関係の変化を、組織間変動と呼ぶ。これは組織間構造変動の側面を持つ。構造変動(発展)は、連合型の形成→連邦型への移行→連邦型の成長→連邦型の衰退という段階を経る。
経営戦略における組織間関係では、企業や利害関係者がプレイヤーだが、本書ではさらに地域住民、地域社会を利害者集団として位置づけている。Massであった地域住民が、環境問題などを契機として組織化されれば、企業との間に調整が発生する。企業と地域社会は、地域依存の操作によって形成・転換される。
コメント
企業組織同士という、同種のプレイヤー間の組織間関係だけでなく、CRや、調整機構の設置により、地域社会を利害関係者として相互関係を調整する位置づけに関心を持った。インターネットによるコミュニケーションは、対境担当者の立場をどのように変えていくのだろうか。