國領二郎、『オープン・ネットワーク経営』、日本経済新聞社、1995

 

モジュール化の議論の多くがコンピュータ産業を主題に行われているが、知識と生産物のモジュール化が進んだ社会においては、情報交換と取引のネットワーク化により外部の組織が保有する資産を組織内部に取り込んだ組織が優位性を持つと定義し、その社会においては「規模の経済」の原理よりも「ネットワークの経済性」による影響が強いとした。

 

オープン型経営の理念を著者は以下のように紹介している。

     外部との取引に標準インターフェースを採用することにより他企業との連携がし易い体制を作る

     (自社の)提供商品を絞って主たる事業領域に資源を集中投入する

     自社領域内であっても自社が必ずしも得意としない部分は積極的に他企業に補完させながら最終需要を満たしていく

 

著者は、本書において日本企業の経営戦略を「囲い込み」と「独自インタフェース」による構成物として対照的に描いている。しかし、著者はこの囲い込みが有効な局面は、経営資源が希少のであるときだと指摘し、大量生産時代が終焉した現在においてはこの囲い込み−旧来の日本企業では強み−が弱点になると指摘している。

なお、本書においてはオープン・ネットワーク上における外部関係を二種類に定義している。その二種類とは、「オープンなシステムによる不特定多数との取引」、「市場でも組織でもない関係−オープン・ネットワーク上における親密な提携関係―」である。

本書は、オープンネットワーク経営を導入するうえで必要な基盤を紹介している。

「人材の流動を円滑にする労働市場の整備」

「第三者機関によるビジネスの審査機能と信用供与プログラム」

「固定化された流通経路の開放」である。

オープンネットワーク経営が普及するにつれて、組織と組織を連結させるプラットフォームビジネスが生まれると指摘した。

 

コメント

本書の指摘している「オープンネットワーク経営」は、本書が世に出て10年が経つが、まだ日本企業において実行・成功している例は少ない。なぜだろうか?

一方、オープンネットワーク経営を最大に活用している企業として私は携帯電話メーカーのサムソン電子を考える。半導体と液晶を戦略物資として捉え、そのほかを外部との連携に依存する同社の変化対応性の早さに日本企業は付いていけない。三年前サムソンはまだ世界市場において低位置にいた。しかし、いま世界の三大携帯電話デバイスメーカーの一翼を担っている。

一方、日本では携帯電話先進国という認識が強い。その乖離も興味深い。

 

 

梅嶋真樹